この記事では『椛という字の読み方はなぎとは違うの?木の偏に花がある苗字はどのように発音する?』と題してお届けします。
この字の名前は、明るく清々しいイメージを持ちますが、実際の読み方はどうなっているのでしょうか。
最近では、人の名前に様々な読み方があり、振り仮名が無いと読み方が分からないことも少なくありません。
それでは、「木」の偏に「花」を合わせた「椛」という漢字、その読み方はどうなるのでしょうか。
実は、この漢字は人名にも使われることがあります。
そこで今回は、「椛」という漢字にスポットを当ててみましょう。
『椛という字の読み方はなぎとは違うの?木の偏に花がある苗字はどのように発音する?』最後までお楽しみください。
この記事に書かれている内容
「椛」の読み方、もしかして「なぎ」?
「椛」という漢字には、もみじ・かば・なぎという読み方があります。
この漢字は、植物名や人名に使われることがあり、植物名としては紅葉(もみじ)、樺(かば)、梛(なぎ)としても知られています。
一文字で複数の植物名に使われることは、漢字の豊かな多様性を感じさせます。
それでは、なぜ「椛」という字がそれぞれの植物名に関連付けられるのか見てみましょう。
まず、「紅葉(もみじ)」
カエデ科の植物である「もみじ」は、「かえで」と同じ種類に属します。
「もみじ」と「かえで」は外見の違いで区別されることがあります。
深く切れ込んだ葉のカエデを「イロハモミジ」、浅い切れ込みのカエデを「ハウチワカエデ」と呼ぶこともあります。
では、なぜ「紅葉」の別名が「椛」なのでしょう。
それは、木と花を組み合わせた字で、木の葉が花のように色づく「もみじ」を連想させるためです。
続いて、「樺(かば)」。
「かば」とは、カバノキ科の植物を指し、ダケカンバやシラカバなどが含まれます。
「椛」が「かば」の別名となったのは、華の字を花に変えたことによります。
そして、「梛(なぎ)」。
「梛」の漢字に含まれる「那」は、「しなやかで美しい」という意味を持ち、これが「花」と結びつき、「椛」の別名として使われるようになりました。
木偏に花、読み方は「なぎ」?
「梛」の意味から派生し、「椛」という漢字も「なぎ」と読まれることがあります。
日本語の奥深さは、見た目が全く異なる漢字が、その意味で結びつくことにあります。
さらに、「椛」と似た漢字に「糀(こうじ)」があります。
これは、米や麦、大豆などにコウジカビを繁殖させたもので、味噌や醤油の原料として使われます。
米にコウジカビが繁殖する様子が、花が咲くように描かれています。
「糀」は米に花を添えて書き、「麹」とも表記されることがあります。これは、その漢字が作られた国による違いです。
「麹」は中国由来の漢字で、「糀」は日本で作られた「国字」です。
そして、「椛」もまた「国字」の一つです。
国字の読み方は訓読みに限られるため、この点も興味深いですね。
木偏に花、学習はいつ?何年生で習う?
では、「椛」という漢字はいつ学ぶのでしょうか。
実は、小学校や中学校の義務教育では習う機会はありません。
さらに、この漢字は現在の常用漢字表にも含まれていません。
そのため、日常生活で頻繁に使われることは少ないです。
しかし、最近では名前に使われることが増え、普段の生活で見かけることもあるかもしれませんが、固有名詞以外では珍しいでしょう。
木偏に花の苗字、どう読む?
「椛」という字は、苗字としても用いられています。
一般的ではないかもしれませんが、知り合いの苗字に使われている場合、読み方が難しいことがあります。
ここで、「椛」を苗字に用いる場合のいくつかの読み方を紹介しましょう。
- 白椛(しらかば)
- 椛澤(からさわ
- もみじさわ)
- 椛谷(もみじたに)
- 大椛(おおなぎ・おおもみじ)
- 石椛(いしなぎ)
などがあります。
人名では、漢字には様々な読み方があるため、分からなければ確認することが大切です。
また、長崎県の五島列島には「椛島(かばしま)」という島があり、福岡県には同名の苗字を持つ人が3000人以上いると言われています。
名前「椛」は、ユニークな響き?
「心姫」を「はあと」と読むように、「桃花」を「ぴんく」と読むなど、近年では独特な響きを持つ「キラキラネーム」という名前が増えています。
そこで疑問ですが、「椛」という漢字を使った名前も、この「キラキラネーム」に該当するのでしょうか。
「キラキラネーム」とは具体的に何を指すのでしょうか。
ウィキペディアによると、「キラキラネーム」または「DQNネーム(ドキュンネーム)」は、伝統的でない読みや外国人名、創作物のキャラクター名を使用した独特な名前の総称です。
ただ、この定義は人によってまちまちで、一つの基準にはならないのが現実です。
意外なことに、「キラキラネーム」の起源は大正時代にさかのぼると言われています。
1929年(昭和4年)に発行された荒木良造の「姓名の研究」には、個性的な名前が「寄姓珍名集」として紹介されています。
その時代には「キラキラネーム」という言葉はまだなかったものの、変わった名前は常に関心の対象でした。
この言葉が広く使われ始めたのは1990年代半ばからで、2000年代に入ると一気に普及し、2000年代前半から2010年頃にはそのピークを迎えました。
ピーク後は少しずつ減少傾向にあり、2000年前後に生まれた子供たちは「キラキラネーム世代」と称されることも。
では、「椛」という名前は「キラキラネーム」にあたるのでしょうか。
2014年の赤ちゃんの名付けランキングで、「椛」は上半期のアクセスランキング1位に輝いています。
(出典:RESCMOU https://resemom.jp/article/2014/07/09/19364.html)。
この漢字には「もみじ」「いろは」「もか」「こころ」といった読み方があります。
このことから、多くの親が「椛」という名前を選んでいることがわかります。
しかし、「キラキラネーム」か否かは個人の解釈に委ねられる部分も大きく、珍しい読み方がすべて該当するわけではないでしょう。
「椛」の漢字は、先述の通り「国字」で、日本独自に作られた珍しい漢字の一つです。
この漢字を単独で使う場合、それを「キラキラネーム」とする見方もあるでしょう。
女の子の名前「椛」、珍しい選択?
「椛」という漢字は、木が花のように色づく様子から「もみじ」と読まれます。
これを考えると、「椛」という名前は女の子に使われることが多いかもしれません。
実際、その名前を持つ女性の著名人はいくらかいます。
以下、3人の例を挙げてみましょう。
「椛」がつく名前:岡本椛里(おかもとさおり)
1982年に女優としてデビューした岡本椛里さんは、テレビドラマや映画で活躍し、その後22歳でカーレースに参加し、トヨタの関係者の目に留まりレーサーに転身。
芸能界を引退し、レースの世界で活躍するという珍しい経歴を持っています。
「椛」がつく名前:上木椛(うえきもみじ)
大阪出身の上木椛さんは、高校時代に上海へ留学し、帰国後は劇団に入団。
2020年からはBANZAI FILMSに所属し、女優として活動しています。
第19回関西現代演劇俳優賞奨励賞を受賞し、今後のさらなる活躍が期待されています。
「椛」がつく名前:西矢椛(にしやもみじ)
2021年、東京オリンピック スケートボード女子ストリートで金メダルを獲得した西矢椛さんは、日本人及びアジア人としては史上最年少(13歳330日)での金メダリストです。
彼女の将来の活躍には目が離せません。
「もみじ」の漢字書き方で注意すべき点
「椛」という漢字は、「化」などの漢字に見られる「ヒ」の部分が横に突き出ている形が正しい書き方とされています。
細かな点ですが、突き出ている「ヒ」と突き出ていない「ヒ」は、異なる漢字として扱われ、それぞれ異なる意味を持ちます。
突き出ている「ヒ」の場合、音読みは「カ」となり、変化を意味する漢字として使用されます。
一方、突き出ていない「ヒ」の場合、音読みは「ヒ」となり、匕(スプーンを表す漢字)となります。
「化」という漢字においては、「変化」を意味する突き出ている「ヒ」に人偏(にんべん)を加えることで成立します。
このことから、突き出ている「ヒ」の音読みが「カ」であることが分かります。
更に、「化」に草冠を加えると「花」となり、これも「カ」と読まれます。
これは突き出ている「ヒ」の音読みに由来しています。
結果的に、「化」と「花」の両漢字において、ヒの部分は横に突き出ている形が正しいとされています。
しかし、学校での学習では、通常、突き出さない形で習うのが一般的です。
「当用漢字」の影響
これらは、1946年(昭和21年)に定められた「当用漢字」の影響によるものです。
「当用漢字」とは、同年11月16日に内閣が告示した「当用漢字表」に掲載された1850字を指し、「さしあたって用いる」という意味で、一時的に使用する漢字として定められました。
この「当用漢字」は1981年(昭和56年)に常用漢字表の告示と共に廃止されました。
「常用漢字」は、法令や公用文書など、社会生活において現代国語を書き表す際の漢字使用の基準です。
現在、常用漢字は2,136字、4,388音訓(2,352音、2,036訓)によって構成され、時折改訂されています。
その結果、「ヒ」の部分が突き出ている「花」は旧字体、突き出ていない「花」は新字体とされています。
そして「椛」という漢字に関しては、「もみじ」「かば」と読む国字とされており、この漢字は「花」と「木」の部分が組み合わさって生まれたことが明らかです。
重要なのは、「ヒ」の形状が新字体の「花」のように突き出さないのか、旧字体の「花」のように突き出るのかという点です。
漢和辞典では、突き出る形が正しいとされており、これは「当用漢字」の影響を受けない漢字として取り扱われているためです。
「椛」は現行の「当用漢字」に含まれていないため、旧字体の突き出る形が正しいとされています。
日常生活では「椛」という漢字を使う機会は少ないかもしれませんが、この漢字を名前に使っている人の氏名を書く際には、この点に留意すると良いでしょう。
まとめ
『椛という字の読み方はなぎとは違うの?木の偏に花がある苗字はどのように発音する?』いかがでしたでしょうか。
「椛」という一文字の漢字には様々な読み方や意味があり、その多様性に驚かされます。
現代における「キラキラネーム」のような創造も興味深いですが、過去には「紅葉」から「椛」を生み出すなど、言葉の創造が行われていました。
今後も様々な言葉の変化が見られるでしょう。
その変化が正しいか間違っているかは個々の判断に委ねられますが、言葉の進化は興味深いものです。
それでは『椛という字の読み方はなぎとは違うの?木の偏に花がある苗字はどのように発音する?』最後までご覧いただきありがとうございました。